マネジメントレビューコントロール(MRC)の検証

本日は会計監査のお話となります。
マネジメントレビューコントロールについて、お話いたします。

マネジメントレビューコントロールとは

マネジメントレビューコントロール(Management Review Control, MRC)とは、上位の職位の方が資料を分析、レビューして、その妥当性を検討するためのコントロールを言います。

よく日本の企業の内部統制でも多いのが、
「担当者が作成した予実分析資料を上長がレビューし、妥当性を確認して押印する。」
といったものです。

マネジメントレビューコントロールの現状

大手の監査法人の現場では、少し前からこのMRCの検討、デザイン設計をしっかり見直していきましょうという風潮がありました。

例えば上記の「担当者が作成した予実分析資料を上長がレビューし、妥当性を確認して押印する。」といった統制を例にとります。

監査人側からすると、レビューの際の明確な数値、判断基準がないので、監査する方もどうやって検証すれば良いのか困ることがあります。
上長の押印だけを確認して、テスト結果をOKとされている方も中にはいるのではないでしょうか

企業側からしても、ローテーションなどで上長が代わった際に、どうやって資料をレビューすれば良いか分からず、とりあえずそれっぽいことを確認して押印しているというケースもあるのではないでしょうか。

そこで、最近の監査法人の現場で言われていたのが、MRCには明確なレビュー基準を設定して(例えば、前月比で〇〇%増減のある項目は内容を確認し、増減コメントを付し、その妥当性を検討する、など)、MRCの統制及びそれに対する監査手続をより実効的なものにしようということでした。

確かに、明確に数値基準などが定められていれば、監査人の検証はやりやすくなります。統制を実施する企業側も、統制を実施する際の指針が得られて良いかと思います。
外資系の企業では、MRCに対して明確な数値基準を設定している例が多かったです。

一方で、MRCというのは熟練の経験を持つ上長の感覚的な判断が重要になることも多いのも事実です。数値基準では見えない、過去の経験から見た何となくの違和感、が大きな問題発見に繋がる可能性もあります。
したがって、数値基準に拘りすぎるのも問題ではあるのですが、監査人の側からすると、そのような感覚的な上長の判断を客観的に外部から検証するのは非常に難しいです。結果として、何となく資料を閲覧してみて、ハンコが押されていればOKという監査判断にも繋がってしまいかねません。

上記のように、明確なレビュー基準を設定することの賛否はあると思うのですが、現在は明確な基準を設定するということが監査の潮流になっています。

まとめ

今回はマネジメントレビューコントロール(MRC)についてお話いたしました。
監査のトレンドというものは、新たな会計不正事例の発見などにともなって、日々進化しています。
上場した際の統制をそのまま残しておくだけではこの流れに対応できない可能性もあります。
監査人と協議しつつ、内部統制の内容は日々見直していくことが重要だと感じます。

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