贈与税の時効は6年!申告漏れや無申告がばれるとどうなる?

贈与を行った場合には、贈与した金額によって贈与税がかかります。

しかし、贈与を行ったということを黙って申告も行わなければ、税務署にバレないのでは、と思う方もいるかもしれません。

たしかに、贈与税には時効があり、その時効期間を過ぎると、税務署が贈与税の申告を要求する権利はなくなります。

しかし、税務署も近年情報網を拡大しており、特に多額の現金や不動産を贈与した場合には、贈与を行った事実を把握され、税務調査になる可能性があります。

そこで今回は、贈与税の時効期間や、税務署がどのように贈与の情報を把握しているかという情報をご紹介していきます。

贈与税の時効は6年、悪質なケースは7年

110万円超の贈与を行った場合には、原則として翌年の3月15日までに贈与税の確定申告を行う必要があります。

しかし、贈与税には時効があります。

無申告の状態で原則6年、悪質と認められた場合は7年が経過すれば、税務署が課税処分を行うことはできません。

脱税目的で意図的に贈与税申告を行わなかった場合には、悪質と認められます。

 

時効成立までのカウント方法

贈与税の時効の年数のカウント方法ですが、贈与税の申告期限の翌日である翌年3月16日から、時効のカウントが始まります

贈与を実際に行った日からカウントするのではない点に注意です。

 

そもそも時効が成立しないケースもある

贈与税の時効は、あくまで法律上で贈与と認められる行為があった場合の時効です。

そもそも贈与ではないと税務署に認められた場合には、時効が成立しません。

例えばよくあるのが名義預金です。

 

おじいちゃんが自分のお金で小さい孫のために、孫名義の定期預金口座を作ってあげたとします。

ただし、定期預金証書はおじいちゃんがずっと管理しており、孫は自分名義の定期預金口座を持っていることは知りません。

このようなケースはよく聞きます。

この点、贈与というのは、贈与者(財産をあげる人)と受贈者(財産をもらう人)の双方の合意があって初めて成立します。

上記のような定期預金は、名義だけは孫になっているが、実質はおじいちゃんの預金(名義預金)であるとして、贈与が税務署に否認されます。

贈与が否認されると、そもそも贈与税の話ではなくなるため、時効は成立しなくなります。

その名義預金は、将来おじいちゃんが亡くなった時に、孫に対する預け金(相続財産)として、相続税が課税されることになります。

何が贈与として認められて、何が贈与として認められないか、の判断は裁判でも度々争いになる非常に難しい論点です。

贈与を実行される際は、税理士、弁護士等の専門家にご相談されることをおすすめいたします。

 

贈与税の申告漏れが見つかった場合のペナルティ

贈与税の時効の成立前に、税務調査などで無申告であることが判明してしまうと、以下の3つのペナルティが待ち受けています。

無申告加算税

申告期限内に申告を行わなかった場合の罰金です。

納付すべき贈与税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を、贈与税額に上乗せして支払います。

なお、税務調査を受ける前に自主的に期限後の申告を行ったケースなど一定の要件を満たす場合には、加算税率が上記から5%軽減されるといった特例もあります。

延滞税

納付期限内に納税を行わなかった場合の罰金です。期限内に申告書は提出したが納税は間に合わなかったという場合にも、延滞税が課税されます。

延滞税の税率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内は年率7.3%、2ヶ月を経過した日以降は年率14.6%となります。

ただし、延滞税の税率は特例税率が設けられています。特例税率は年度ごとに異なります。

ご参考までに、納税を延滞している期間が令和4年1月1日から令和4年12月31日の間の場合、延滞税の税率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内は年率2.4%、2ヶ月を経過した日以降は年率8.7%に軽減されます。

重加算税

単に贈与税に関する知識がなかったり、うっかりしていたという場合には基本的には課税されませんが、受贈者が贈与財産を仮装もしくは隠蔽する目的で無申告であった場合には、無申告加算税というペナルティが課されます。

相当悪質なケースに課税されるペナルティのため、申告・納付期限に遅れたからといって必ず課税されるものではありません。

また、上記の無申告加算税の代わりに課税されるペナルティであるため、無申告加算税と重加算税が両方課税されるということはありません。

しかし、以下のように課税された場合の税率は非常に高いです。

>申告・納税はしていたが過少申告:35%
>意図的に申告・納税をしていない:40%

 

無申告であることが発覚した場合の対策

ペナルティを受けないためにも期限内に申告・納付を行いたいところですが、故意でなくとも申告が漏れてしまったということもあるでしょう。

また、本記事を見て、やはり申告をしようと思われた方もいるかもしれません(笑)。

その場合の対策ですが、早急に正しい贈与税申告書を作成し、税務署に提出、納税をする方法しかありません。

対応が早ければ早いほど、延滞税も少なくなりますし、悪質かどうかの印象も薄まると思います。

実際に贈与税の無申告はバレるの?

税務署に申告書を提出しなければ贈与なんてバレないんじゃないか、と思われる方もいるかもしれません。

たしかに、実際に無申告で時効が成立してしまっている贈与も世の中にはあるでしょう。

 

しかし、現在、税務署は富裕層の税務調査に力を入れており、生前から現預金の履歴調査等を行っています。

そのため、家族に対して多額の振り込み等があれば、贈与税の税務調査が行われる可能性があります。

 

また、不動産の贈与については贈与登記を行うので、税務署は登記情報の履歴から贈与の有無を判断できます。

保険契約の贈与というものもありますが、保険の契約者変更があった際には、契約変更内容が記載された支払調書が保険会社から税務署に提出される仕組みになっています。

贈与を行った認識がある場合には、ペナルティが課されないためにも、素直に贈与税の申告を行うことをおすすめいたします。

 

まとめ

贈与税には時効がありますが、そもそも贈与として認められないと、時効に関係なく課税されてしまいます。

また、時効成立前に贈与税が無申告であることが判明してしまうと、加算税等のペナルティが発生してしまいます。

贈与を行う場合には、まず贈与として認められるような手続きを踏むこと、そして期限内に贈与税の申告を行うことが重要です。

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