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相続税の申告期限を延長したい!手続き方法を解説!

相続税の申告期限・納付期限は、「相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内」と法律で決められています。

1日でも遅れると、加算税や特例の不適用といったペナルティが待ち受けています。

相続税の申告期限が間近に迫っている相続人としては、ペナルティを受けないためにも、申告期限が延長できるなら是非したい、と考える方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、具体的にどのようなケースで相続税の申告期限の延長が認められ、どのような手続きを行うのか、といった点を解説していきます。

 

相続税の申告期限の延長は基本認められない

結論としては、相続税の申告期限の延長は基本的に認められていません。

しかし、これからご説明する特殊なケースの場合には、申告期限の延長が認められるケースがあります。

自分の今の状況に該当するものがないか、チェックしてみてください。

 

 

相続税の申告期限の延長が認められる特殊なケース

相続税の申告期限の延長が認められるのは、大きく分けて「相続税の申告期限前1ヶ月以内のタイミングで、相続人や財産額に変動があった場合」と「感染症や大規模災害等が発生した場合」の2つのケースです。

 

相続税の申告期限前1ヶ月以内のタイミングで、相続人や財産額に変動があった場合

相続税の申告期限前1ヶ月以内のギリギリのタイミングで、相続人の人数や財産に変動が生じるような大きな事態が起きた場合には、個別の申請を行うことで申告期限から最大で2ヶ月の延長が認められる可能性があります。

例えば以下のようなケースで、相続税の申告期限を延長できる可能性があります。

  • 相続人の認知、廃除等により相続人に異動が生じたとき
  • 遺留分の侵害額請求が認められたとき
  • 遺言書が発見され相続人以外の第三者への遺贈があることが発覚したとき
  • 遺贈の放棄が決定したとき

これらの事態が申告期限前ギリギリに発覚した場合には、流石に相続税の申告期限までに申告書の提出を求めるのは酷だろうということで、申告期限延長の余地が認められています。

申告期限の延長申請の様式

上記のような理由で相続税の申告期限を延長する場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の様式を使用します。

このあとご説明する、コロナによる申告期限延長と同じ様式ですね。

以下が様式の実物です。

申請書の名前は「災害」となっていますが、こちらの様式を使用すればOKです。

「被災状況」の欄に申告期限の延長の申請理由を詳細に記載します。

なお、「相続税の申告期限前1ヶ月以内のタイミングで、相続人や財産額に変動があった場合」といったケースは税務署にとっても非常に珍しいケースであり、税務署ごとに申請方法や添付書類の方針が異なる可能性もあります。

そのため、事前に所轄税務署に申請方法を確認しておいたほうが良いかと思います。

 

感染症や大規模災害等が発生した場合

新型コロナウイルス感染症といった大規模な感染症や、大型台風、地震などの大規模災害が発生した場合に、申告期限の延長が認められるケースがあります。

具体的には以下の2つの方法で相続税の申告期限の延長ができます。

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する方法

最近では、新型コロナウイルス感染症に罹患したことによる延長申請がこれに該当します。

以降では新型コロナウイルス感染症による延長申請を前提として解説いたします。

これは「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に延長の理由を記載して、税務署に延長の判断を仰ぐというケースです。

ただし、この申請書を提出したからといって、必ず申告期限が延長されるわけではありません。

以前は申請がよく通っていたイメージがあるのですが、最近は理由などの確認が厳しくなっている印象があります。

申請書の様式と記載例

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の様式は以下の国税庁HPから入手できます。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/kosei/annai/pdf/2834.pdf

以下の記載例は法人税等の例なのですが、基本の記載事項は相続税の場合も同じです。

新型コロナウイルス感染症に罹患した場合に申告期限を延長したい場合は、ご参考にしてください。

(国税庁HPより抜粋、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-044.pdf

延長が認められる理由

以下のようなケースで医療機関等から外出自粛要請を受けている場合などに、相続税の申告期限の延長が認められる可能性があります。

  • 納税者や税理士(事務所職員を含む)がコロナに感染した
  • 納税者や税理士(事務所職員を含む)がコロナに感染した疑いがある
  • 納税者や税理士(事務所職員を含む)がコロナ感染者に濃厚接触した疑いがある

以下の国税庁のFAQ 問5にも具体的な事例が記載されていますので、参考にしてください。

(国税庁 「令和5年5月7日までの国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの税務上の取扱いに関するFAQ」)

相続税の申告期限の延長期間

コロナウイルス感染症から回復し、申告等の作業が行えるようになった日から2ヶ月以内に、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出します。

ここで、相続税申告書と同時に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出した場合は、原則としてその提出日が申告・納付期限になります。

要は、コロナウイルス感染症から回復してから2ヶ月以内に、相続税申告書と「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に同時に提出して、提出日までに納付も済ませましょうということです。

なお、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は申告書を提出する相続人ゼイン員がそれぞれ作成、提出する必要がある点に注意してください。

 

国税庁の告示で一律延長される方法

大型台風といった大規模な自然災害等が発生した場合に、国税庁が告示を行い、一定の地域については申告期限を一律で延長するケースがあります。

国税庁の告示は以下のページから見ることができます。

https://www.nta.go.jp/law/kokuji/kokuji.htm

最近では令和2年の熊本県の豪雨災害で以下のような告示を出していました。

(国税庁HPより抜粋、https://www.nta.go.jp/law/kokuji/pdf/0020007-134.pdf

この場合、申告期限は告示で指定された期間まで一律で延長されるため、個別に納税者が申告期限の延長申請を行う必要はありません。

 

相続税の申告期限の延長が出来ると誤解されてしまうケース

相続税の申告期限の延長が出来ると誤解されてしまうケースをご紹介します。

相続財産、債務の調査が終わらない

相続税申告にあたっては被相続人の全ての財産と債務を洗い出す必要があります。

しかし、同居している家族でも被相続人の財産状況は把握していないケースも多く、10ヶ月という期間で網羅的に財産調査を行うのが難しいケースもあります。

そんなとき、気持ちとしては10ヶ月という期間は短いので相続税の申告期限を延長してほしいところですが、国税庁はそれを認めていません。

この場合は、現状把握できている財産、債務に基づいてまずは期限内申告を行い、財産、債務が確定した段階で後日、修正申告や更正の請求といった修正処理を行いましょう。

遺産分割協議が完了しない

相続人間のトラブルや財産、債務の洗い出しが済んでいないなどの理由で、相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了しないケースがあります。

この場合も、相続税の申告期限を延長してほしいところですが、国税庁はそれを認めていません。

対応としては、遺産は未分割として期限内申告を一旦行い、遺産分割が確定した段階で後日、修正申告や更正の請求といった修正処理を行いましょう。

なお、期限内申告の際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出もあわせてご検討ください。

こちらを提出すれば、後日遺産分割が確定した際に、配偶者控除や小規模宅地等の特例を使用することができます。

 

相続税申告書を作成するのに必要とされる時間

この記事を見ている方の中には、相続税の申告期限が間近に迫っており、慌てている方もいらっしゃるかと思います。

相続税の申告期限までに特急で相続税申告書を作成することができれば良いのですが、税理士に依頼したとしても、財産規模や資料の収集状況にもよりますが、最低2~3ヶ月程度の期間は見ておいたほうが良いかと思います。

また、申告期限が間近に迫っている場合は、一旦概算で期限内申告を行い、その後、修正申告や更正の請求で対応するという提案が税理士からあるかもしれません。

 

まとめ

今回は相続税の申告期限の延長について解説いたしました。

まず原則としては、相続税の申告期限の延長は認められていません。

しかし、特殊なケースに該当する場合は、確実ではないですが相続税の申告期限の延長が認められる場合があります。

諦めずに自身が該当するケースがあるかどうかご確認いただき、もし相続税の申告期限の延長が出来そうな場合は、申請書等の提出を忘れずに行っていただきたいと思います。

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