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相続税の申告期限は10か月!期限が過ぎてしまうとどうなる?

ご家族が亡くなったとき、その方が預金や不動産などの財産を多く保有していた場合は相続税の申告、納付が必要になることがあります。

また、ご家族が亡くなってからしばらくすると、税務署から「相続税についてのお尋ね」が郵送されてきて、相続税の申告、納付が必要という事実に気づく方もいらっしゃるかと思います。

相続税の申告期限・納付期限は法律で明確に定められており、1日でも期限を過ぎてしまうと厳しいペナルティが待ち受けています。

そのため、お亡くなりになった方の相続税の申告期限、納付期限を把握して、期限に間に合うように手続を進めていくことが重要です。

そこで、この記事では、相続税の申告期限・納付期限についてご紹介いたします。

 

相続税の申告期限・納付期限は10か月以内

相続税の申告期限・納付期限は、「相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内」と法律で決められています。

例えば、2023年7月1日にお亡くなりになった場合には、2024年5月1日が相続税の申告期限・納付期限となります。

なお、10ヶ月後が土・日・祝日や年末年始(12月29日~1月3日)である場合には、その翌日、またはその後の直近の月曜日が申告期限・納付期限となります。

文章だけですと分かりづらいため、以下にいくつか例を出してみました。

 

相続税の納税は、期限までに原則として現金で一括納付する必要があります。

相続税は数百万円、数千万円といった多額の納税が生じるケースも少なくないので、納付期限までに納税資金の準備も進める必要があります。

また、税理士に申告書作成を依頼する場合に、期限間近の依頼になってしまうと追加料金が発生するケースも多いため、期限までに余裕をもって手続を進めていきたいところです。

 

期限を過ぎた場合のペナルティ

相続税の申告期限を1日でも過ぎてしまうとペナルティが待ち受けています。

ペナルティは大きく分けて2つあり、無申告加算税などの「附帯税」と、「相続税の有利な特例が適用できない」というペナルティです。

附帯税

申告期限・納付期限に遅れてしまった場合に発生する附帯税は、主に以下の3つです。

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 重加算税

附帯税とは、相続税額とは別に追加で納める罰金のようなものです。

無申告加算税

申告期限内に申告を行わなかった場合の罰金です。

納付すべき相続税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を、相続税額に上乗せして支払います。

なお、税務調査を受ける前に自主的に期限後の申告を行ったケースなど一定の要件を満たす場合には、加算税率が上記から5%軽減されるといった特例もあります。

延滞税

納付期限内に納税を行わなかった場合の罰金です。期限内に申告書は提出したが納税は間に合わなかったという場合にも、延滞税が課税されます。

延滞税の税率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内は年率7.3%、2ヶ月を経過した日以降は年率14.6%となります。

ただし、延滞税の税率は特例税率が設けられています。特例税率は年度ごとに異なります。

ご参考までに、納税を延滞している期間が令和4年1月1日から令和4年12月31日の間の場合、延滞税の税率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内は年率2.4%、2ヶ月を経過した日以降は年率8.7%に軽減されます。

重加算税

単に相続税に関する知識がなかったり、うっかりしていたという場合には基本的には課税されませんが、相続人が相続財産を仮装もしくは隠蔽する目的で無申告であった場合には、無申告加算税というペナルティが課されます。

相当悪質なケースに課税されるペナルティのため、申告・納付期限に遅れたからといって必ず課税されるものではありません。

また、上記の無申告加算税の代わりに課税されるペナルティであるため、無申告加算税と重加算税が両方課税されるということはありません。

しかし、以下のように課税された場合の税率は非常に高いです。

>申告・納税はしていたが過少申告:35%

>意図的に申告・納税をしていない:40%

相続税の有利な特例が利用できない

相続税には税額控除や納税猶予などの、納税者にとって有利な特例がいくつか用意されています。

その中には、申告期限内の申告書提出を要件としているものがあります。

具体的には、配偶者控除、小規模宅地等の特例、農地の納税猶予、特例事業承継税制による非上場株式の納税猶予、といった特例が申告期限内の申告を要件としています。

いずれの特例も、ケースによっては数百万円、数千万円の相続税の節税効果が生じる場合もあります。

これらの特例が適用できるのとできないのとでは、税負担が大きく変わってくるため、申告期限までの申告を行いたいところです。

 

申告期限・納付期限に間に合わない場合の対策

ペナルティを受けないためにも期限内に申告・納付を行いたいところですが、どうしても申告期限・納付期限に間に合わない事情もあるかと思います。

以下では、そのような場合の対策をご紹介いたします。

 申告期限内に概算で申告して、その後に修正申告・更正の請求

相続税の申告が必要なことが申告期限間近に判明した場合には、お亡くなりになった方の財産の評価や債務の洗い出しが申告期限に間に合わないケースがあります。

この場合は、申告期限までにとりあえず判明している財産、債務を概算で集計して、申告書を提出するのも1つの方法かと思います。

そして、申告期限内に申告した後に、修正申告や更正の請求で、追加の納税や還付を受けます。

流石にデタラメな数字で申告書を作成するのは問題がありますが、土地は簡便的に路線価に地積を乗じた数値で集計したりするなど、概算額で申告して申告期限に間に合わせることをオススメします。

申告期限を1日でも過ぎてしまうと、附帯税が課されたり、一部の有利な特例が適用できなくなってしまいます。

そのため、申告期限内に申告書を概算でも良いので一旦形にして提出するということを目指しましょう。

未分割で期限内申告

財産や債務の洗い出し、評価は済んでいるが、相続人間の遺産分割協議が申告期限までにまとまらないといったケースもあるかと思います。

なるべくなら申告期限を過ぎた場合のデメリットを相続人間で共有して、申告期限までの遺産分割協議の完了を目指したいところです。

しかし、中には相続人間の争いで裁判にまで発展するケースもあり、現実的には申告期限までに遺産分割協議がまとまらないこともあります。

このようなケースの場合は、とりあえず未分割(=法定相続割合で相続したと仮定)として相続税の申告書を提出することも1つの選択肢です。

そして、遺産分割協議が完了したタイミングで修正申告や更正の請求を行います。

また、未分割で申告する際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を相続税申告書に添付して提出すれば、遺産分割協議が完了した際に配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用を受けることも可能です。

クレジットカード納付

相続税は基本的に現金一括納付であり、かつ税額が高額になるケースも少なくありません。

そのため、申告期限までに申告書は提出できるが、納税額が用意できないというケースもあるかと思います。

このようなケースで利用できるのがクレジットカード納付です。以下のサイトから利用できます。

国税クレジットカードお支払サイト

 

納付期限までにクレジットカード納付の登録処理を行えば、翌月や翌々月など、クレジットカードの引落日まで実際の納税タイミングを延長できます。

それまでに、預金の解約や生命保険の請求などで納税資金を作る時間を稼ぐことが可能です。

注意点としては、納税額がクレジットカードの利用限度額を超えないかどうかの確認や、クレジットカード会社への決済手数料もそれなりの金額が発生することです。

私のお客様でも、決済手数料とクレジットカードのポイントを比較して、ポイントが上回るような場合にはクレジットカード納付を利用されている方がいらっしゃいます。

相続税の延納・物納

納付期限までに納税資金を用意することが難しい場合の対策として、延納、物納制度があります。

延納は、不動産などの担保を提供して相続税を分割で支払う方法です。

物納は、延納を使ってもなお、金銭で相続税を納めることが難しい人に対する制度で、相続税を現金ではなく、不動産や有価証券等の現物で納める方法です。

しかし、いずれも適用にあたっては、現金での一括納付が困難な理由の証明や、担保、物納対象資産の制限など適用条件がかなり厳しいです。

したがって、実務上は利用するケースをあまり見かけませんが、一考の余地はあると思います。

 

まとめ

相続税の申告期限・納付期限は、「相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内」です。

この期限から1日でも過ぎてしまうとペナルティが待っています。

期限に間に合わない場合の対策等もご紹介いたしましたが、やはり一番良いのは申告期限・納付期限までに申告書を提出して相続税を納めることです。

相続が発生してみると、葬儀や法要、財産整理などで10か月という期間は案外あっという間に過ぎてしまいます。

もしご自身で手続を進めるのが難しいと感じる場合には、税理士などの専門家の力も利用しつつ、相続税の期限内申告・納税を行っていただければと思います。

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