(書評)いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」 (講談社+α新書)
以下の書籍を読みました。
皆さんは医療保険や生命保険に加入されていますでしょうか?
職業柄、企業の従業員さんの年末調整の際に保険の加入状況を拝見しますが、中には10個も20個も保険に入っているような方も見受けます。
この本は、そんな保険に入りすぎている方に対する警笛のような本です。
中身を読まずとも、本の背表紙にエッセンスが書いてあります。
以下に、特に重要な点を抜粋いたします。
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- 人生100年時代に合わない商品
- 最強の保険は健康保険
- 大病でも自己負担額は65万円以下
- 先進医療特約に意味はあるか
- がん保険のCMは脅しすぎ
- 貯蓄・運用目的の保険はいらない
おそらく保険に入りすぎている方というのは、将来に対して漠然とした不安感を多く持っているのだと思います。
そして、保険会社さんがそのような方の不安感を煽り、多くの保険商品に加入させるのです。
例えば、医療保険。
国の健康保険制度が非常に充実しています。
(裏返すと、それだけ国の社会保障費の財源が投じられているということなのですが。。)
正直、民間の医療保険など入らなくとも、医療費負担は大幅に抑えられています。
さらに、医療も日進月歩で進化しており、今までは入院が必要だった病気が日帰りで済んだり、入院しても以前より短い入院日数で退院することができます。
医療保険の大きな給付の1つである、入院給付金が発生するケースが少なくなっているのです。
また、生命保険。
これも多く入りすぎている方がいます。
生命保険とは何のために入るかというと、一番の目的は働き手の若い人が亡くなった際の残された家族への保障です。
万が一のことがあった場合に、残された家族が最低限生活しているだけの資金を残せれば良いため、必要以上に保障を残す必要はないわけです。
既に一定程度の蓄えがある方は、生命保険に入る必要すらないかもしれません。
さらに、終身型の保険で、積立投資のようなものを行おうという方もいるかと思います。
これも、投資で資産形成をしたいのならば、別に保険に入る必要はないのです。
自分自身でNISAの枠などを使って、株式や投信に投資すれば良いのです。
このように、冷静に医療の現状や保障の考え方を整理してみると、保険というのは入らなくても良いケースが多いのです。
しかし、もちろん保険に加入するのが必要な方もいます。
例えば、幼い子どもがいて今後も多額の養育費がかかる場合に、大黒柱のお父さんが亡くなってしまったら、家族は路頭に迷ってしまうかもしれません。
その際は、残される家族への保障として、お父さんが生命保険に入る必要はかなり髙いでしょう。
また、相続対策という面でも、保険は有効活用できます。
法定相続人の数×500万円の非課税枠や、原則として遺留分侵害額請求の対象にもならないという大きなメリットが生命保険にはあります。
まとめると、保険会社や周りの方に勧められるがままに保険に入るのではなく、自分の家族の状況や資産状況も踏まえ、
自分が保険に入るべきなのかどうか、冷静に考える必要があるということです。