法人設立前の要チェック事項!

 栃木県宇都宮市の公認会計士、税理士の岸です!

 法人化を検討されている方は、法人名を何にしようか、本社はどこにしようか、といった構想を頭に描いているかと思います。

 もちろん、それらも重要ではあるのですが、新設法人の決算書を拝見していると会計、税務の観点からもっとこうすればメリットがあったのに、、、と思う事例も多々見受けられます。

 そこで、以下に法人設立前にチェックしておきたい事項を箇条書きで記載いたします。ご参考になれば幸いです。

 法人設立前の要チェック事項

 

  • 法人設立日

  法人設立日は皆さん、大安だったり、社長の思い入れのある日を選択される方が多いのではないでしょうか。

 ここで、税務的には、法人住民税の均等割というものが、事業年度に含まれている月数分だけ発生します。要するに、1年に満たない事業年度の場合は、均等割を月割りしてくれます。

 法人の設立年度は、設立日から初めの決算日までが12ヶ月に満たないケースも多いです。そして、この月数の計算は、1月未満の端数は切り捨てることとされています。

 従いまして、例えば3月決算法人が4月1日に法人を設立すれば、4月が丸々1月としてカウントされてしまいますが、4月2日に1日だけ設立日をずらすことで、4月分は端数未満となり切り捨てられます。結果として、1ヶ月分だけ設立年度の均等割を安くすることができます

 もし、特に月初日の設立にこだわりがないといったような場合には、月中の日付で法人設立した方が、均等割が少しお得になります。

 

  • 資本金の額

 よくあるご質問とし、資本金の額はいくらにすればよいのか、というものがあります。

 現在、会社法では最低資本金制度というものが撤廃されましたので、資本金はいくらでも自由に設定できます。

 特に資本金をいくらにすればよいかという明確な答えはありません。

 ですが、税務的に見ると、まず資本金1,000万円のラインというのがあります。これは、消費税の問題で、消費税は基本的には設立から2期は免税事業者になるのですが、資本金が1,000万円以上だと設立年度から課税事業者になるという制度があります。したがって、例えば人材派遣業等の特定業界の法律規制で最低資本金が定められているという場合を除いては、資本金は1,000万円未満で設定される方が多いかと思います

 また、中には1,000万円未満の資本金では資金繰りが回らないよ、という方もいらっしゃるかと思います。

 その場合は、銀行借入も検討されても良いでしょうし、役員個人から会社に資金を貸し付けることも可能です。

 役員個人から会社に資金を貸し付けた場合は、会社の決算書では通常は”役員借入金”という勘定科目で計上します。

 役員借入金については無利息であっても、通常は税務上何か問題が発生することはありません。(会計、税務の知識が少し必要になるので根拠は省略します。)

 また、昔に平和事件という裁判があり、3,000億円超の役員借入金があった株式会社平和について、利息を設定しなさいと言われ、追徴課税が発生したケースはあります。ただ、ここまで多額の資金を会社に貸し付けることはそうそう無いケースかと思います。

 

  • 株主構成

 これも失敗事例をよく見受けます。

 開業当初は資金もなく、友人や企業仲間のグループで共同出資して法人を設立するケースもあるかと思います。

 しかし、株主が多くなればなるほど、株主総会の決議も思うように通らなかったり、将来会社が利益を出した場合に株の買い取り費用が高額になったりといった問題が生じてきます。

 もちろん、将来は株式上場をするというような計画があれば、株主が複数いてもそこまで問題にならないケースもあるかと思います。

 一方で、上場せずに、中小企業として運営していきたい場合には、株主の数は絞った方が後々のためになるかと思います。

 

  • 決算月

 日本は圧倒的に3月決算の法人が多いです。この事実を知って、自分も3月決算にしようと考えられる方も多いです。

 しかし、もし特にこだわりがないようでしたら、3月決算ではなく他の決算月(例えば4月決算など)にした方がメリットが生じるケースがあります。

 皆様の申告書を作成する会計事務所は他にも多くの顧問先を抱えているわけですが、日本は3月決算の法人が多いので、会計事務所の顧問先も3月決算が必然的に多くなります。

 そうすると、会計事務所側は3月決算が繁忙期となります。複数会社の決算が同時並行で進行するため、1社1社に割くことができるリソースが少なくなります。

 そこで、せっかく顧問料や決算料を支払うのならば、会計事務所の繁忙期ではない決算月を選択して、懇切丁寧に自社に時間を割いてもらうといった考えもあるかと思います。

 

まとめ

 法人設立前にチェックしておきたい事項をまとめました。他にも注意点は多々あるかと思いますが、私が普段の実務で遭遇するケースが多い項目をピックアップいたしました。

 可能ならば、法人設立前から税理士に依頼してアドバイスを受けると、知らずに損してしまったということがなくなるかと思います。

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