相続登記の申請義務化 2024年4月1日から!

 2024年4月1日から、相続登記の申請義務化が開始されます。
 法務局の解説HPも以下にありますが、私なりにも簡単にまとめてみました。

 (知っていますか?相続登記の申請義務化について|宇都宮地方法務局)
 https://houmukyoku.moj.go.jp/utsunomiya/page000001_00232.html

背景

 所有者不明土地の発生防止が背景です。

 所有者不明土地とは、登記簿謄本上の所有者が何世代も前で所有者が判明しない、所有者が判明しても所在がわからない、といった土地になります。
 このような所有者不明土地の面積は、全国で九州本島の大きさに匹敵するとも言われているようです。
 所有者不明土地の上には、空き家が建っているケースもあり、全国の自治体で空き家の管理をどうしていくか、も問題化してきています。

 なぜこのような所有者不明土地が発生するかというと、不動産の相続登記が今まで義務化されていなかったことも原因の1つかと思います。
 相続登記には登録免許税や司法書士への報酬といったコストが発生します。
 したがって、相続登記が義務化されていないならば、なるべく登記はしたくないという方もいるでしょう。
 また、遺産分割協議がなかなかまとまらない案件で、相続登記が義務化されていないため明確な期限がなく協議がまとまらず、ずるずる今まで来てしまっている、という案件もあるかと思います。

 これらの問題が、不動産の相続登記が義務化されることで、解消していくのではないか、ということです。

相続登記の申請義務化(2024年4月1日から)

 相続(遺言も含む)により不動産を取得した相続人は、相続があったことを知った日から3年以内(履行期間)に相続登記の申請をしなければならないこととされました。

 そして、正当な理由がないにも関わらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。

 なお、正当な理由の例には、以下のようなものがあります。

 ・相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース

 ・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース

 ・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース

 また、2024年4月1日より前に相続が発生した土地・建物も義務化の対象になるので注意が必要です。
 この場合は原則として、2024年4月1日から3年以内に、相続登記を行う必要があります。

相続人申告登記(2024年4月1日から)

 登記簿上の所有者について相続が開始したこと、自らがその相続人であること、を申し出る制度です。

 この申出がされると、申出をした相続人の氏名・住所等が登記簿に登記されますが、所有持分までは登記されません。

 この申出を履行期間内(3年以内)に行うことで、相続登記の申請義務を履行したものとみなすことができます
 例えば遺産分割協議が難航して相続登記が完了していなくとも、申出を行えば、一旦は申請義務を満たすことができるということです。
 なお、後日に遺産分割協議が完了した場合には、遺産分割協議の日から3年以内に、不動産の名義変更の登記を行う必要があります。

 上記にも記載しましたが、今回の相続登記の義務化は所有者不明土地の増加が背景です。
 したがって、相続人が申出を行い、氏名、住所等を明らかにすれば、所有者不明土地ではなくなるため、相続登記まで行わなくとも目的は達成できるのです。

まとめ

 今後、制度開始に向けて、今まで放置されていた相続登記の申請が増加することが見込まれます。
 制度開始まで相続登記を放置して過料が科されることがないよう、事前に法務局や司法書士等への専門家へご相談することをおすすめいたします。

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