忘れないようにしたい 組織再編を行った場合の税務の届出

 こんにちは、栃木県宇都宮市の会計士・税理士の岸です!

 皆様の会社では合併や分割などの組織再編を行ったことはありますか?

 組織再編を行う際に税理士が細心の注意を払って検討するのが、税制適格要件と繰越欠損金の引継ぎ要件です。この2つは検討を誤ると税務上非常に大きいインパクトがあるため、入念なチェックを行います。

 ですがもう1つ、忘れてはならないはずなのですが、検討が漏れやすいのが組織再編を行った後の税務関係の届出です。組織再編を行った際に検討が必要となる税務の届出書は、国税庁が以下のページにまとめてくれています。

 企業組織再編関係|国税庁

 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/kigyosaihen/mokuji.htm

 実務上は検討漏れがないよう、こちらのページを参照して必要な届出が漏れていないかチェックする方も多いのではないでしょうか。

 ページを見るとすごい数の届出が表示されますが、実際に必要となる届出の数は限られてくるかと思います。

 その中で、おそらく大抵の法人で関係してきて、かつ、届出が漏れた場合に大きな影響が生じてしまうのが、「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出」かと思います。

 届出期限は適格分割等を行った日から2ヶ月以内です。

 『適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出』の提出が漏れた場合には、分割会社の側では分割した事業に含まれる固定資産の期首~分割があった日の前日までの期間の減価償却費を損金として計上することができなくなってしまうのです。あえて分割会社側では減価償却を行わず、分割承継会社側で減価償却を行いたいというような意図があればよいですが、通常は分割会社側で減価償却を計上したいというニーズが強いかと思います。

 組織再編の実行前後は慌ただしく、税務の届出まで気が回らないケースもあるかと思います。ただし、届出書1つの出し忘れで、上記のような減価償却費が損金計上できないなどの不利益が生じる可能性があります。

 組織再編を行った際に必要となる手続や届出を事前に洗い出したり、組織再編分野に強い税理士等に依頼することで、税務上不利にならない組織再編を行いたいところです。

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