令和4年分 路線価公表 栃木県の主要駅近くの傾向も

 こんにちは!栃木県宇都宮市の会計士・税理士の岸です。

 2022年7月1日に令和4年分の国税庁路線価が公表されました。

(https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm)

 国税庁路線価は相続時や贈与時の土地の評価に使用されたり、土地の時価の参考指標の1つにもなるため、世間が非常に注目する指標となります。

 そこで今回は、そもそも国税庁路線価に関してのご説明や、私が住んでいる栃木県の主要箇所の路線価の前年比較を行っていきたいと思います。

国税庁路線価とは

 不動産の価格を表す指標は大きく分けて5つに分類されます。1つの物(不動産)に対して価格が5種類あるので、一物五価ともいわれます。図表にまとめると以下の通りです。 

 「実勢価格」とは、不動産を売買する人たちが個々の交渉で決める実際の売買価格です。

 「公示地価」とは、土地取引の参考などにするために国土交通省が毎年公表している指標です。全国各地の標準地と呼ばれる評価地点の1㎡あたりの価格です。標準値は都市計画区域内を中心として選定されています。

 「基準地価」とは、これも土地取引の参考などにするために各都道府県が毎年公表している指標です。全国各地の基準地と呼ばれる評価地点の1㎡あたりの価格です。基準地は「公示地価」の標準地とは異なり、都市計画区域外の土地なども選定されます。標準地と基準地のどちらにも選定されている土地もありますが、両者の範囲は一致するものではありません。

 「公示地価」、「基準地価」のいずれも土地の時価を求めるにあたっての参考となる指標ですが、「実勢価格」とは乖離が生じるケースも多く見受けられます。特に土地の価格が上昇し続けている東京都心などでは乖離幅が大きくなりやすいです。

 「固定資産税評価」とは、土地の所有者に対して課税される固定資産税・都市計画税の算定のために利用される指標です。固定資産税・都市計画税を管轄する各市町村が価格の調査を行います。固定資産税独自の路線価を用いて評価を行います。したがって、国税庁が公表している路線価と区別するために、「国税庁路線価」、「固定資産税路線価」と使い分けて呼ぶ方もいらっしゃいます。本記事で話題としているのは、「国税庁路線価」の方です。固定資産税評価は、公示地価の70%を目安として評価が行われます。

 「相続税路線価(国税庁路線価)」とは、相続税・贈与税における土地評価に使用するために、国税庁が毎年公表している指標です。公示地価の80%を目安として評価が行われます。

 その年の国税庁路線価は、近年は毎年7月1日に公表されています。(昔は8月1日の公表だったようです。)

 したがって、その年の1月~6月の間に土地の相続や贈与が発生した際には、7月まで待たないと正確な評価・税額計算を行うことができません。実務上は、前年の路線価を使用したり、その年の公示地価に80%を乗じたものを推定値として土地評価を試算し、7月にその年の路線価が公表されたら最新の路線価に置き換えるというようなことも行われます。

栃木県の令和4年の国税庁路線価

 では実際に、栃木県内の主要箇所の国税庁路線価図を見ていきましょう。具体的には、栃木県内の東北新幹線の駅周辺の路線価を見ていきます。

  • JR宇都宮駅周辺

 JR宇都宮駅を挟んで、西口側と東口側です。路線価の表示は千円単位で1㎡あたりの金額です。

 西口側と東口側のいずれも、全体的に5千円ほど1㎡あたりの価格が上昇しています。LRTや東口側の駅直結新商業施設の開設が予定されており、土地の価格が上がっているのでしょうか。

  • JR那須塩原駅周辺

 JR那須塩原駅の西口側です。こちらはJR宇都宮駅周辺とは逆に、全体的に1千円ほど1㎡あたりの価格が下落しています。人口減少が進んでいる地域であり、駅近くは飲食店等が立ち並んでいるような場所でもないため、価格が下落しているのでしょうか。

  • JR小山駅周辺

 JR小山駅を挟んで、西口側と東口側です。こちらは令和3年と比較して路線価の変動はほとんどありませんでした。

まとめ

 土地の価格の種類についてご説明したあと、実際に栃木県内の新幹線駅周辺の路線価を見てみました。

 上昇、下落、変動なし、とそれぞれの駅周辺で傾向が異なっており面白い結果となりました。路線価図を見てみると、その土地の価格は今どのような状況なのかといったことがある程度推測できます。

 皆さんもご自宅の近くや普段行く場所の路線価図を見てみると新たな発見があるかもしれません。

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